Dead or Alive |
忍で良かったなぁって、思うんだ。 「逃げれっこないデショ?アンタ中忍だし。」 押さえつけて上から見下ろせば、黒い瞳がギラギラと怒りを込めて俺を見上げる。 ああ俺、上忍で良かったなぁ。 しみじみ思った。 だって、俺があんたと同じ中忍だったら、絶対こんな事出来ないもんねぇ。 こんな簡単にあんたの両手を縛り上げるなんて、到底無理。あんた意外と筋いいもん。 俺くらいの上忍じゃなきゃ、絶対こんな巧くいかないよ。 「離せ・・・!この変態・・・!!!」 痛々しく血の滲む唇を痙攣させて、イルカ先生が大声で怒鳴る。ごめーんね。そこまでは加減 できなかったよ。一発も殴らずに押し倒すってのは、流石の俺も無理だったよ。 「イルカ先生と出来るの、うれしいよ。」 微笑んで言うと、周囲の空気が先生の激しい怒気でビリビリと震えた。その怒りを軽く受け流し、 ふふ、と笑いながらイルカ先生の内股に俺のブツをぐいぐいと押し付けた。 「ほら、分かる?俺もうカチカチだーよ?」 「・・・あ、あんたは気違いだ・・・・!!」 青筋を立てて叫ぶイルカ先生の瞳に、ふいに怯えたような光が混ざる。強気と弱気が絶妙に 入り混じるその眼差しに、背中がぞくぞくと粟立った。 「最低だ・・・!!俺に、なんの恨みがあって・・・・!!」 イルカ先生が吐き出すように言う。えー?と首を傾げて答えた。 「やだなー。恨みなんかなーいヨ。ただ、先生とやりたいだけじゃない。何度も何度も何度も何度も、 そう言ったでしょ?俺すごい溜まってるんですーって。」 「だから、俺を便所にしようってのか!?実力さえあれば、何やってもいいと思ってんのか!!」 「そーだよ。実力さえあれば、何やってもいーの。先生だって、嫌なら実力で逃げていーよ?」 「・・・・・!!」 しっかりと整った唇が、悔しそうにぎりぎりと噛み締められる。 「・・・・あんたみたいな気違いと知り合いになったのは、間違いだった・・・!!」 裏切られた、と言わんばかりに、イルカ先生が俺から顔を逸らして吐き捨てる。その横顔にかかる 解れた黒髪を、まぁまぁと宥めるようにそっと払った。 「・・・んじゃ、お互い自分の立場を自覚したトコで、はじめましょーか。」 ニコニコ笑いながら、イルカ先生の怒りと恐怖に青褪めた頬を両手で押さえる。ゆっくりと顔を近づけ、 先生の唇にねっとりと舌を差し入れる。 その瞬間、イルカ先生の眼が驚愕に大きく開いた。 ああ俺、忍になってよかったなぁ。 身体中を走る快感に、小さく身を震わしながら思った。 そのまま、息もつかずイルカ先生の口腔をぐちゃぐちゃに自分の舌で掻き回す。いったん呼吸を繋ぐ為に、 渋々舌を引き抜くと、その隙に先生が喘ぐように息を引き攣らせて一言言った。 「あ、あんた・・・・!」 「うん。そう。だから、いいよ。いつでも。」 もどかしくそれだけ言って、また忙しく舌を先生の口に捻じ込む。まるでアソコみたいに熱く濡れる 柔らかな唇の感触に、そのままいっちまいそうになった。 「・・・・そんな・・・・そん・・・そんなこと・・・・」 すっかり狼狽した先生の声が、合間合間に聞こえる。その度、痺れるような快感が全身を走っていく。 心底思った。 ああ俺、忍になって良かった。先生と同じ、忍で良かった。先生が、忍で良かった。 こんな真似、どんな下っぱの、どんな駆け出しの忍も、絶対しない。 『舌を噛み切られちまえば、即お陀仏。やりたいんなら、腰から下だけ。』 それは忍の大常識。 その舌を、相手の口に自ら進んで差し入れる。 その意味が、お互い判る忍で良かった。 「・・・先生・・・先生、嫌なら、いいんだよ・・・噛み切って、いいんだよ・・・・」 貪るように舌を絡ませながら囁く。 「・・・・ふ・・っ・・」 唇の端からトロトロと唾液を零しながら、イルカ先生が苦しげに喘ぐ。 「・・・先生、嫌なら、いつでも終わりにしていいよ・・・ね?先生・・・・イルカ先生・・・・」 「・・・・やめ・・・い、いやだ・・・・やめ・・・」 「・・・いいの?ねぇ、止めなくていいの・・・?」 うれしい、と囁きながら、また舌を絡める。真っ直ぐで剛い黒髪を指で掻き乱すと、よく太陽に 照らされた暖かな匂いがした。ああ、イルカ先生の匂いだ。陶然と思った。嬉しくて嬉しくて、 頭がおかしくなりそうだった。 先生が、俺の舌を噛まない。 イルカ先生の歯が、俺の舌を食い千切らない。イルカ先生の拒絶は、俺の命よりも強くない。 俺の命と、引き換える程のもんじゃない。 イルカ先生が、今、そう決めてくれた。 嬉しい。 嬉しい嬉しい嬉しい。嬉しいよイルカ先生。先生、嬉しくって変になりそう。 先生、俺を殺さないでくれてありがとう。殺せないって、思ってくれてありがとう。 ほんとうは、殺したっていいんだよ。 この不世出の天才忍者、写輪眼のカカシ様の舌を遠慮なく食い千切ってくれても。木の葉一の業師の 息の根を、しがない中忍教師のアンタがあっさり止めてくれちまっても。 ほんとにね。ほんとにそれでもいいんだよ。 だって、意味が無いでしょう? 先生とセックスできない、俺の肉体なんて。 先生に、死んでも入れたくないって思われる俺のチンコなんか。 そんなもん、あったってしょうがないでしょう? とっとと腐っちまった方が、世の為人の為でしょう? ああ俺、忍になって良かったなぁ。 「先生・・・イルカ先生・・・ありがとう・・・嬉しい・・・」 「・・・やめろ・・・カカシさん・・・やめてくれ・・・・」 先生の声に、次第に哀願が混じり始める。ああ、なんてエロいんだろう。それじゃまるで、イチャパラの 淫乱女じゃない。そんなに俺を滾らせてどうすんの。それなら、口を閉じりゃいいじゃない。俺の舌、 とっとと噛み切ればいいじゃない。なんで、そうしないの。なんでそんな急に、及び腰になってんの。 なんでいきなり、カカシさん、なんて、こんな事になる前みたいに呼んでんの。 ねぇ。 なんでそんなに、優しいの。 ああ俺、ほんと忍になって良かった。 五歳で戦場デビューして。その日の内に、敵殺して。勝手に首吊って死んだ親父の分まで、里に尽くせって 命令されて。親友の命と引き換えに、物覚えのいい目ん玉貰って。それ使ってばんばんばんばん敵殺して。 暗部に入ってからは、尚一層ばんばん殺して。殺して殺して殺しまくって。 全部、このためだったんだね。この便利さの為に、俺は忍になったんだね。 キス一つで、あんたに全部分かって貰える。 その為だけに、俺は生きてきたんだね。 「カカシさん・・・やめ・・・やめてくだ・・・っカカシさん・・・っ!」 まるで睦言のようにイルカ先生が俺に掻き口説く。その誘う唇に、また深く舌を差し入れる。 ねぇ。あんたが口を開くたびにキスするよ。一つ一つ、先に進む度にキスするよ。 その度に、俺の覚悟を思い知ればいいよ。その度に、俺に犯される自分を感じればいいよ。 ねぇ先生。 忍で良かったなぁって、思うんだ。 こんなキス、俺達以外にゃできないよ。俺達二人しか、できないよ。 愛と死が、ぐちゃぐちゃになったキスなんて。 ねぇ先生。 忍で良かったなぁって、思うんだ。 先生が選ばなきゃいけないものが、俺の愛か死か、どっちかしかなくて良かったなぁって思うんだ。 ねぇ先生。 良かったなぁって、思うんだ。 |
END |
「ヤコビの線」のヤコビ様への押し付け第二弾。 一作目の童話パロを書き上げてから、「童話ネタは好き嫌いがある」と気づいてしまい、慌てて違う系統のお話を追加で 書き上げ。(間抜けすぎるよオマエ!) どっちか好きな方を選んで下さい、と図々しく「下手な鉄砲も数打ちゃ・・・」方式をかました無礼者なよっしーに、どちらも 受け取って下さる、という第三の選択をして下さったヤコビさんの太っ腹さに感激です。薄暗い話ですが、どうぞよろしく お願いしますー(土下座) ・・・実はコレ、ヤコビ様の描かれたあるイラストの二人でイメージしたのです。えへへ(言っちゃったよ) 大変萌えなカカイルイラストです。まだご覧になってない方は是非!(力強く) 小品はヤコビ様に限りダウンロード可です。えへ |
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